オペレヴィ・ヴィクセ

ユークリッドの『原論』を少しずつ読んでいくブログです。タイトルは「Q.E.D.」の元になったギリシャ語の「όπερ έδει δείξαι.」。

第3巻命題6 接する二円の中心

もし二つの円が互いに接するならば、それらは同じ中心を持たないであろう。

 

前回は、二つの円が交わる場合、それらは同じ中心を持たないことを証明した。今回は、前回予告した通り、二つの円が接する場合の話である。

stoixeia.hatenablog.com

 

 

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さて、二円ΑΒΓ、ΓΔΕが、点Γにおいて互いに接するとしよう。このとき、これらは同じ中心を持たないことを示す。

証明は背理法を使う。これらが同じ中心を持つと仮定し、それをΖとする。そして、ΖΓを結び*1、任意にΖΕΒを引く。

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すると、点Ζは円ΑΒΓの中心であるので、ΖΓはΖΒに等しい*2。また、点Ζは円ΓΔΕの中心でもあるので、ΖΓはΖΕに等しい*3

ともにΖΓに等しいので、ΖΒとΖΕは互いに等しい*4。従って小さいものが大きいものに等しくなるが、これは不可能である*5。ゆえに点Ζは、二円ΑΒΓ、ΓΔΕの中心ではない。

よって、もし二つの円が互いに接するならば、それらは同じ中心を持たないであろう。これが証明すべきことであった。

 

 

前回予告した通り、この証明方法は前回と全く同じである。文章もほとんど同じだ。

ところで、今回の証明では二円が内接していたが、単に「接する」だけなら、外接もあり得る。

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外接する場合、今回の証明と同じ論法が使えるとは限らない。例えば以下のような場合だ。

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点Ζが二円の外部にあると仮定すると、ΖΕとΖΒが等しくても矛盾しない。

が、そもそも、円の定義から、円の中心は円の内部になくてはいけない。よって、二円の外部にある点Ζが二円の中心になることはない。これが証明すべきことであった。

 

命題5と6から、二円が一点以上で交わる場合は、同じ中心を持たないことがわかる。このことは、命題10以降で二円の関係を調べるときに利用される。

 

 

*1:公準1「任意の点から任意の点へ直線をひくこと」

*2:定義1-15「円とは一つの線に囲まれた平面図形で、その図形の内部にある一点からそれへ引かれたすべての線分が互いに等しいものである」

*3:定義1-15「円とは一つの線に囲まれた平面図形で、その図形の内部にある一点からそれへ引かれたすべての線分が互いに等しいものである」

*4:公理1「同じものに等しいものはまた互いに等しい」

*5:公理8「全体は部分より大きい」