オペレヴィ・ヴィクセ

ユークリッドの『原論』を少しずつ読んでいくブログです。タイトルは「Q.E.D.」の元になったギリシャ語の「όπερ έδει δείξαι.」。

第3巻命題12 外接する二円の中心を結ぶ線分

もし二つの円が外側で互いに接するならば、それらの中心を結ぶ線分は接点を通るであろう。

 

前回の命題11では、二円が内接するとき、その中心を結ぶ線分は円の接点を通ることを示した。

stoixeia.hatenablog.com

 

今回は、外接する場合の話である。前回同様、三角形の二辺の和が、他の一辺より大きくなることを利用する。ただし、利用の方法は、前回とは異なる。さほど難しい内容ではないので、さらっと証明して終わりにしよう。

 

さて、二円ΑΒΓ、ΑΔΕが、外側で点Αにおいて互いに接しているとする。そして、二円の中心Ζ、Ηを取ろう*1

f:id:kigurox:20190126221351p:plain

このとき、線分ΖΗは点Αを通ると主張している。

証明には背理法を使う。Ζ、Ηを結んだとき、線分ΖΓΔΗのようになるとしよう。

f:id:kigurox:20190126222044p:plain

そして、ΑΖ、ΑΗを結ぼう*2

f:id:kigurox:20190126222246p:plain

さて、こうすると点Ζは円ΑΒΓの中心なので、線分ΖΑは線分ΖΓに等しい*3。同様に、点Ηは円ΑΔΕの中心なので、線分ΗΑは線分ΗΔに等しい*4

以上から、二線分ΖΑΗΑの和は、二線分ΖΓΗΔの和に等しい*5。ところで線分ΖΗ全体は、三線ΖΓΓΔΔΗの和なので、二線分ΖΓΗΔの和より大きい。よって、線分ΖΗ全体は、二線分ΖΑΗΑの和より大きい。

ここで、三角形ΑΖΗに注目しよう(二線分は面積を囲まないので*6、ΖΓΔΗが線分ならΖΑΗは線分ではない。したがってこれは三角形になる)。すると、辺ΖΗは二辺ΖΑΗΑの和より小さい*7。しかし、ΖΗΖΑΗΑの和より大きいことも、先に証明した。これは矛盾である。従って、二点ΖΗを結ぶ線分は、点Α以外の点を通らない。ゆえに点Αを通る。

よって、もし二つの円が外側で互いに接するならば、それらの中心を結ぶ線分は接点を通るであろう。これが証明すべきことであった。

 

 

とても面白い証明である。前回同様、円の話をしているのに、突然三角形が出てくるところがお茶目で良い。

参考文献[1]の文章では、三角形に注目したことを説明せず、いきなり以下のように書かれている。

それゆえΖΑ、ΑΗの和はΖΓ、ΗΔの和に等しい。ゆえにΖΗ全体はΖΑ、ΑΗの和より大きい。ところがまた小さくもある。これは不可能である。

いきなり「ところがまた小さくもある」と出てくるのだ。参考文献[3]の文章でもそうなっているので、『原論』の原文がそうなっていると思われる。私は最初これを読んだとき、なぜ小さくもあるのかわからなかった。参考文献[3]の説明を読んで、ようやく理解した。

ちなみにこの命題は、後世のヘロンによって追加されたものと言われているようだ。『原論』の古い写本にはこの命題はなく、したがって、これ以降の命題番号がひとつずつズレるようである。

 

 

*1:命題3-1「与えられた円の中心を見出すこと」

*2:公準1「任意の点から任意の点へ直線をひくこと」

*3:定義1-15「円とは一つの線に囲まれた平面図形で、その図形の内部にある一点からそれへ引かれたすべての線分が互いに等しいものである」

*4:定義1-15「円とは一つの線に囲まれた平面図形で、その図形の内部にある一点からそれへ引かれたすべての線分が互いに等しいものである」

*5:公理2「等しいものに等しいものが加えられれば、全体は等しい」

*6:公理9「二線分は面積を囲まない」

*7:命題1-20「すべての三角形において、どの二辺をとってもその和は残りの一辺より大きい」