オペレヴィ・ヴィクセ

ユークリッドの『原論』を少しずつ読んでいくブログです。タイトルは「Q.E.D.」の元になったギリシャ語の「όπερ έδει δείξαι.」。

第1巻命題28 同位角が等しければ平行

もし一直線が二直線に交わって成す一つの外角が同じ側の内対角に等しいか、または同側内角の和が二直角に等しければ、この二直線は互いに平行であろう。 

 

前回は錯角だったので、今回は同位角である。

記事のタイトルはわかりやすく「同位角が等しければ平行」としたが、実際にはこの命題は同位角だけでなく、同側内角の和にも言及している。

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二直線ΑΒ、ΓΔに、一直線ΕΖが二点Η、Θでそれぞれ交わっているとする。
このとき、

  • 一つの外角ΕΗΒが、ΕΖに関して同じ側にある内対角ΗΘΔに等しい
  • 同側内角ΒΗΘΗΘΔの和が二直角に等しい

のどちらかが成り立てば、ΑΒはΓΔに平行であると述べている。

現代の日本の中学では、ΕΗΒΗΘΔを「同位角」と呼ぶが、当ブログの参考文献では「内対角」と訳しているので、このブログでもそのように書く。

 

では順番に証明していこう。

まず、ΕΗΒΗΘΔに等しい場合。
ΕΗΒは対頂角ΑΗΘにも等しいので*1ΗΘΔΑΗΘに等しい*2。ところでΗΘΔΑΗΘは錯角であり、錯角が等しい二直線は平行である*3。ゆえにこの場合、ΑΒはΓΔに平行である。

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次に、同側内角ΒΗΘΗΘΔの和が二直角に等しい場合。
直線ΑΒに注目すると、二角ΒΗΘΑΗΘの和も二直角である*4。すべての直角は互いに等しいので、ΒΗΘΑΗΘの和は、ΒΗΘΗΘΔの和に等しい*5*6*7。双方から角ΒΗΘを引き去ると、残りの角ΑΗΘΗΘΔに等しい*8。しかもこれらは錯角なので、やはりΑΒはΓΔに平行である*9

よってもし一直線が二直線に交わって成す一つの外角が同じ側の内対角に等しいか、または同側内角の和が二直角に等しければ、この二直線は互いに平行であろう。これが証明すべきことであった。

 

同位角の方は中学で習うが、二つ目の「同側内角の和が二直角なら平行」も中学で習うのだろうか。少なくとも私は習った記憶はないが、忘れているだけかもしれない。

ところでこの命題は、五番目の公準(平行線公準)を思い起こさせる。第五公準は次のようなものだった。

一直線が二直線に交わり同じ側の内角の和を二直角より小さくするならば、この二直線は限りなく延長されると二直角より小さい角のある側において交わること

今回証明した命題28は、「内角の和が二直角なら平行」である。第五公準は「内角の和が二直角より小さければ、小さい側で交わる」と言っている。

とてもよく似ている。なんか頑張れば命題28から公準5が証明できてしまいそうな気がするが、おそらく過去に多くの数学者が同じことを考えて失敗しているのだろう。

 

 

 

*1:命題15「もし二直線が互いに交わるならば、対頂角を互いに等しくする」

*2:公理1「同じものに等しいものはまた互いに等しい」

*3:命題27「もし一直線が二直線に交わって成す錯角が互いに等しければ、この二直線は互いに平行であろう」

*4:命題13「もし直線が直線の上に立てられて二つの角を作るならば、二つの直角か、またはその和が二直角に等しい角を作るであろう」

*5:公準4「すべての直角は互いに等しいこと」

*6:公理5「同じものの二倍は互いに等しい」

*7:公理1「同じものに等しいものはまた互いに等しい」

*8:公理3「等しいものから等しいものが引かれれば、残りは等しい」

*9:命題27「もし一直線が二直線に交わって成す錯角が互いに等しければ、この二直線は互いに平行であろう」