等しい底辺の上にあり、かつ同じ平行線の間にある三角形は互いに等しい。
前回は、底辺が共通な三角形の等積変形を論じた。
今回は、底辺が等しい場合について論じよう。
(ΒΓ=ΕΖ)
図のように、二つの三角形ΑΒΓ、ΔΕΖを、底辺ΒΓ、ΕΖが等しく、同じ平行線ΒΖ、ΑΔの間にある三角形とする。このとき、両者は(面積が)互いに等しいことを示す。証明方法は、前回とほとんど同じである。
まずは補助線だ。ΑΔを両方向にΗ、Θまで延長し*1、Βを通りΓΑに平行にΒΗを、Ζを取りΕΔに平行にΖΘを引く*2。
(ΓΑ // ΒΗ、ΕΔ // ΖΘ)
すると、二つの四角形ΑΓΒΗとΔΕΖΘは、ともに平行四辺形であり、しかも互いに等しい。なぜなら、底辺ΒΓ、ΕΖが互いに等しく、同じ平行線ΒΖ、ΗΘの間にあるからだ*3。
そして三角形ΑΒΓは、平行四辺形ΑΓΒΗの半分である。なぜなら、対角線ΑΒが、平行四辺形ΑΓΒΗを二等分しているからだ*4。
同様に、三角形ΔΕΖも、平行四辺形ΔΕΖΘの半分だ。なぜなら、対角線ΔΖが、それを二等分しているから*5。
二つの平行四辺形ΑΓΒΗ、ΔΕΖΘは互いに等しいので、それらの半分である二つの三角形ΑΒΓ、ΔΕΖも互いに等しい*6。
よって、等しい底辺の上にあり、かつ同じ平行線の間にある三角形は互いに等しい。 これが証明すべきことであった。
前回と同様、補助線を引いて等しい平行四辺形を作り、二つの三角形がそれらの半分なので等しい、と示した。
色々注釈を書きたいところではあるが、それもだいたい前回の記事で書いてしまったので、そちらに譲ろう。他にも細かい突っ込みは、命題35から連続して色々書いている。
今回も、三角形の重なり方には下図のように色々あるが、どの場合であっても、今回の方法で証明できる。
「平行四辺形は対角線で二等分される」という命題は、中学のときに問題として出された記憶はあるが、定理として紹介された記憶はない。問題として出たあとも、それを使って何かをしたりはしなかったと思う。
しかし前回も今回も、この命題が大活躍している。まさかこんなに活用されるとは思わなかったので、ちょっと意外だ。