オペレヴィ・ヴィクセ

ユークリッドの『原論』を少しずつ読んでいくブログです。タイトルは「Q.E.D.」の元になったギリシャ語の「όπερ έδει δείξαι.」。

第3巻命題3 弦を二等分する直線

もし円において、中心を通る線分が中心を通らない弦を二等分するならば、それをまた直角に切る。そしてもし直角に切るならば、それをまた二等分する。

 

今回は、命題とその逆が同時に書かれている。今までなかったタイプである。

一応用語の解説をしておくと、命題「ΑならばΒ」に対し、「ΒならばΑ」をその命題の逆と呼ぶ。今回の命題は、前半が命題で、後半がその逆になっている。

 

さて、円ΑΒΓに対し、中心を通る線分ΓΔが、中心を通らない弦ΑΒを二等分するとする。

f:id:kigurox:20180629224821p:plain(ΑΖ=ΖΒ)

このとき、ΓΔはΑΒの垂線であると主張している。まずはこれを証明しよう。

図において、円ΑΒΓの中心Εをとり*1、ΕΑ、ΕΒを結ぶ*2
(ここ、わかりにくいのだが、ΓΔが中心を通ることは前提としていても、中心がどこにあるのかは、作図するまでわからないことになっている)

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示したいのは、角ΕΖΑと角ΕΖΒが、ともに直角であることだ。

ここで二つの三角形ΕΑΖ、ΕΒΖに注目する。ΓΔはΑΒを二等分しているので、ΑΖはΖΒに等しい。そしてΖΕは共通なので、二辺が二辺に等しい。そして円の半径なので、底辺ΕΑも底辺ΕΒに等しい*3。ゆえに二つの三角形は合同なので、底辺に対する角ΕΖΑは角ΕΖΒに等しい。

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すると、直線の上に直線が立てられ接角を等しくしているので、この二角はともに直角である*4。したがって、中心を通る直線ΓΔが、中心を通らないΑΒを二等分するならば、それをまた直角に切る。

 

続いて、今度は逆に、中心を通るΓΔがΑΔを直角に切る場合、それをまた二等分することを示そう。作図は同じものを利用する。

f:id:kigurox:20180630212158p:plain

示したいのは、ΑΖがΒΖに等しいことだ。

三角形ΕΑΒに注目すると、ΕΑがΕΒに等しいので*5、これは二等辺三角形である。したがって、角ΕΑΖは角ΕΒΖに等しい*6。さらに、直角は互いに等しいので、角ΕΖΑも角ΕΖΒに等しい*7

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ここでまた、二つの三角形ΕΑΖ、ΕΒΖに注目すると、これは二角が二角に等しく、一辺が一辺に等しい三角形である。したがって、残りの辺も残りの辺に等しい*8。ゆえに、ΑΖはΑΒに等しい。

よってもし円において中心を通る弦が中心を通らない弦を二等分するならば、それをまた直角に切る。そしてもし直角に切るならば、それをまた二等分する。

 

 

中心と弦の両端を結んで三角形を二つ作ると、それが合同になる。だから接角も等しいし、辺も等しい、という証明であった。

今回の命題は、第3巻命題1系によく似ている。こんな命題だった。

第3巻命題1系

もし円において直線が直線を直角に二等分するならば、円の中心は二等分線上にある。

stoixeia.hatenablog.com

命題3は、直線が中心を通る前提だったが、命題1系は、直線が直角に二等分することが前提となっている。

そういえば、そもそも命題1では、弦の直角二等分線を二等分して、中心を見つけたのだった。命題1と今回の命題3は、お互いに補い合うような形になっているとも言える。

 

 

*1:命題3-1「与えられた円の中心を見出すこと」

*2:公準1「任意の点から任意の点へ直線をひくこと」

*3:定義1-15「円とは一つの線に囲まれた平面図形で、その図形の内部にある一点からそれへ引かれたすべての線分が互いに等しいものである」

*4:定義1-10「直線が直線の上に立てられて接角を互いに等しくするとき、等しい角の双方は直角であり、 上に立つ直線はその下の直線に対して垂線と呼ばれる」

*5:定義1-15「円とは一つの線に囲まれた平面図形で、その図形の内部にある一点からそれへ引かれたすべての線分が互いに等しいものである」

*6:命題1-5「二等辺三角形の底辺の上にある角は互いに等しく、等しい辺が延長されるとき、底辺の下の角は互いに等しいであろう」

*7:公準4「すべての直角は互いに等しいこと」

*8:命題1-26「もし二つの三角形において、二角が二角にそれぞれ等しく、一辺が一辺に、すなわち等しい二角に挟まれる辺かまたは等しい角の一つに対する辺が等しければ、残りの二辺も残りの二辺に等しく、残りの角も残りの角に等しいであろう」