オペレヴィ・ヴィクセ

ユークリッドの『原論』を少しずつ読んでいくブログです。タイトルは「Q.E.D.」の元になったギリシャ語の「όπερ έδει δείξαι.」。

第2巻まとめ

しかし多くの場合、こうして紙に線をひく必要はない。各々の線をひとつずつの文字で示せば足りるのである。たとえば、線BDをGHに加える場合は、一方をa、他方をbと名付けて、a+bと書く。

――ルネ・デカルト幾何学

 

『原論』第2巻は、(現代の我々から見ると)不思議な命題が集まっていた。

第2巻の内容は、命題1~10と、11~14に大別できる。前者は線分を分割したとき、その上にできる正方形や矩形の関係を論じた。そして後者は、前者の“応用編”と見なせるような内容だった。10個の“基本編”と4個の“応用編”で構成された巻だったと言えるだろう。

 

“基本編”は、近年まで「幾何学代数学」と呼ばれていた。現代の我々が使っている代数学を、幾何学的に表現したものだと解釈されていたのだ。例えば命題4は、有名な展開の公式 (a+b)^2=a^2+b^2+2ab を表しているように見える。

stoixeia.hatenablog.com

しかし近年の研究では、このような見方は否定されているらしい。私も今回初めて第2巻を精読して、幾何学代数学の見方に疑問を抱いた。

第2巻の命題は、確かに我々には代数学に見える。しかしそれは、我々が代数学を知りすぎているからだ。また、第2巻を幾何学代数学として説明する本やWebサイトの説明には、たいてい不審な点が含まれる。

幾何学代数学に対する私の疑問点を、これまでの記事からまとめよう。注釈で、疑問点を述べた記事へのリンクを張っておく。

  • 代数学の利点のひとつは、数をその文脈から切り離して記号操作に置き換えられることだ。しかし、第2巻で「線分をその文脈から切り離す」という考え方は出てこない*1

  • 命題2と3を代数学と見なすならば、これらはともに分配法則を表す。しかしユークリッドがそのつもりで書いたとすれば、命題3は「線分を分割する」ではなく「線分を延長する」という命題になっているはずである*2

  • 命題5と6は二次方程式の解法だとされる。しかし、この命題を使って二次方程式を解くためには、先に解がわかっていなければならない。これは明らかにおかしい*3

  • 命題4と7は、現代の代数学で表すと符号が違うだけの同じ代数公式を表す。しかし一方は4、他方は7と、離して置かれている。もしユークリッドが代数的な見方をしていたのなら、この二つは並べて置かれているはずである*4

 また、これまでの記事中では書かなかった点として、

  • 代数学の基本公式と見なすには、複雑すぎる内容が含まれる(命題8~10)。

も挙げておこう。当該記事では面倒くさくて書かなかったのだが、これらの命題を無理やり文字式で表すと、見たこともないような等式が現れる。

もっとも、これらは私が直感的に感じただけのことである。「第2巻は何を目的として書かれたのか?」という問題は、研究者たちの間で一時大論争を巻き起こしたらしい。おそらくその中で上記の疑問はすべて出ていただろうし、双方の立場から合理性の高い仮説がいくつも出ていたことだろう。その辺、詳しく調べたいところなのだが、まだ手を付けていない。

 

現代の我々には代数学にしか見えない第2巻が、代数学ではないとしたら、いったいなんなのだろうか? この疑問については、この記事の最後で考察しようと思う。

 


 

命題2~10の内容について、もうしばらく書こう。

これらはいずれも命題の文章が複雑で、それでいて似たような文面のものが多かった。そのため、どれが何を主張しているのか、わからなくなりがちだ。なんとか、少しでも理解しやすいように、学生のような気持ちで整理してみよう。

まず、これら九命題は、すべて以下の形をしている。

線分が[ ]されるならば、《 》は、【 】に等しい。

そして、[ ]に入るのは、以下の3つだ。

  • 任意に二分(命題2、3、4、7、8)
  • 二等分かつ不等な部分に二分(命題5、9)
  • 二等分かつ任意に延長(命題6、10)

ややこしいのは《 》と【 】である。ここに入るのは正方形か矩形か、それらの和のいずれかなのだが、その組み合わせ方が複雑であった。

ここは文章で書くとどうしてもわかりにくいので、数式の力を借りよう。以下では、二線分a,bに囲まれた矩形を [a,b]と表し、線分a上の正方形を (a) と表すことにする。

線分ΑΒが点Δで任意に二分されたとし、ΑΔをa、ΔΒをb、ΑΒをsで表す。このとき、各命題は以下のように表現される。

f:id:kigurox:20180521234934p:plain
命題2:[s,a]+[s,b] = (s)
命題3:[s,b] = [a,b]+(b)
命題4:(s) = (a)+(b)+[a,b]×2
命題7:(s)+(b) = [s,b]×2+(a)
命題8:[s,b]×4+(a) = (s+b)

(s)は「全体の上の正方形」であり、[s,b]は「全体と一つの部分とに囲まれた矩形」である。どちらも命題中でよく見たフレーズだが、こうして見ると確かによく出てきている*5

次に、線分ΑΒを点Γで二等分し、点Δで不等に二分すると、命題5と9は以下のように表現される。

f:id:kigurox:20180521233207p:plain
命題5:[a,b]+(d) = (c)
命題9:(a)+(b) = {(c)+(d)}×2

最後に線分ΑΒを点Γで二等分し、点Δまで延長すると、命題6と10は以下の通りになる。

f:id:kigurox:20180521234950p:plain
命題6:[a,b]+(c) = (d)
命題10:(a)+(b) = {(c)+(d)}×2

数式で表すと、命題5、6、9、10の対応がとてもよくわかる。命題5と6は、《矩形と正方形の和》は、【他の場所の正方形】に等しいと述べている。命題9と10は、《二つの正方形の和》は、【他の二つの正方形の和の二倍】に等しいと述べている。

さらに面白いことに、命題9と10が全く同じ式で表されている。ユークリッドはこのことに気付いていただろうか? もちろん数式という概念はなかったはずだが、線分の名前が同じであることには気付いていたことだろう。というか、だからこそ9と10を並べて書いたのだろう。

命題5と6も、(c)と(d)の配置が逆になっているだけで、ほぼ同じ式だ。しかしこれは、数式で書いたから逆になっているのであり、線分の配置を考えるとむしろ「同じ配置」と言える。つまり、命題5と6は、《[a,b]と「真ん中の線分上の正方形」の和》は、【「二等分点と右端を結ぶ線分上の正方形」】に等しいと“暗記”することができるのだ。これでテストはばっちりである。

以上の図示は、すべて線分の名前を統一している。すなわち、
 ΑΒ=s、ΑΔ=a、ΒΔ=b
 ΒΓ=c、ΓΔ=d
となっている。sは「線分の全体」を、aとbは「線分の両端から任意の点までの線分」を、cは「線分の半分」を、dは「二等分点と任意の点の間の線分」をそれぞれ表している。

それを踏まえた上でもう一度数式を並べ、じっくりと見てみよう。

f:id:kigurox:20180525001614p:plain

命題2:[s,a]+[s,b] = (s)
命題3:[s,b] = [a,b]+(b)
命題4:(s) = (a)+(b)+[a,b]×2
命題5:[a,b]+(d) = (c)
命題6:[a,b]+(c) = (d)
命題7:(s)+(b) = [s,b]×2+(a)
命題8:[s,b]×4+(a) = (s+b)
命題9:(a)+(b) = {(c)+(d)}×2
命題10:(a)+(b) = {(c)+(d)}×2

こうして見ると、5と6、9と10の対比は惚れ惚れするほどである。

また、当該記事ではやや曖昧な書き方をしていた7と8のつながりも、なんとなくわかりやすくなった気がする。両者とも、[s,b]と(a)の和を考えているのだ。それが左辺か右辺か、二倍か四倍かの違いはあるが*6

4と7が離されているのも、この理由によると主張できるかもしれない。図は全く同じだし、代数学を使えばほぼ同じ式になる両者だが、話の重点は全く異なるのだ。7は[s,b]と(a)の和で、4は[a,b]に注目した命題なのだ。

というのは、5と6も、[a,b]に注目しているからだ。4~6は、すべてに[a,b]が登場する。さらにそれは、命題3からも続いている。命題3~6の四つは、すべて[a,b]と何かの和について考察している、と言えなくもない。

それどころか、命題3では(b)との和を、4では(a)+(b)との和、5では(d)との和、6では(c)との和を考察している。四つの命題で、(s)以外のすべての正方形が登場しているのだ。

そういう視点で見てみると、この九命題の並びは、かなり一本筋が通っているように見える。命題1も併せて考えると、

命題1と2:矩形同士の和について
命題3~6:矩形[a,b]と正方形(a)~(d)との和について
命題7と8:矩形[s,b]と正方形(a)との和について
命題9と10:正方形同士の和について

と、このように、各命題を分類できるのではなかろうか?

ユークリッドがこのように考えていたとすると、[s,b]とは(a)の和しか考察していないのはなぜなのか、という突っ込みが生じる。今のところ、私はこれに対する明確な回答を持っていない。

 

それにしても、数式というのは便利なものである。当ブログではなるべく数式を使わないようにしているのだが、やはり現代の我々には、自然言語より数式の方がわかりやすい。ややこしかった十個の命題が、非常にすっきりと、見通し良くまとまってしまった。おかげで、面白い説を捻り出すこともできた。

ひとつ注意しておくと、この説は、私が自分で勝手に考えた内容である。正しいかどうか、私にもよくわからない。

 


 

“基本編”の考察はこのへんにして、次は“応用編”を見よう。応用編は、次の四つだった。

命題11:線分を二分し、等しい正方形と矩形を作図する
命題12:余弦定理[鈍角編]
命題13:余弦定理[鋭角編]
命題14:直線図形の正方形化(領域付置)

ひとつひとつ、順番に見ていこう。

命題11は、いわゆる黄金分割(黄金比の作図)であった。が、第2巻ではまだ比が使えないため、比を用いずに黄金分割を行っている。

当該記事でも書いたが、わざわざそんなことをしている理由は、第4巻で正五角形を作図する際に、この命題を使いたいからだ。

命題11には、第2巻命題6:[a,b]+(c) = (d) が使われた。

 

命題12と13は、現代では余弦定理と呼ばれる定理を扱っている。現代なら一本の式で表される内容が、負の数を使えないために二つの命題に分かれている。

ここで言及したいのは、これらの命題で初めて、第1巻命題12が利用されるということだ。

stoixeia.hatenablog.com

第1巻命題12は、第1巻の中では全く使われなかった。それだけ見ると、第1巻にこの命題がある理由は謎である。しかし、実は第2巻のここで利用されるのである。だから第1巻にこの命題があったのだろう*7。この命題は、余弦定理の証明の中で、三角形の頂点から対辺に垂線を下ろすのに利用されている。

命題12、13を余弦定理とは書いたが、ユークリッドはこれを「ピタゴラスの定理の拡張」と見ていたに違いない、と当該記事で述べた。もっとも、余弦定理というのは、現代でもピタゴラスの定理の拡張と解釈されるので、ユークリッドと全く同じ見方をしているのだが。

命題12、13には、第2巻命題4と7がそれぞれ使われた。離して置かれていた二つの命題が、ここでは対比的に利用されている。

 

最後は命題14だ。これは第2巻だけでなく、第1巻の集大成とも言える命題であろう。

命題14には、第1巻に登場した領域付置とピタゴラスの定理が、ともに使われていた。領域付置とは、与えられた直線図形に等しい平行四辺形を、与えられた条件のもとで描く作図のことだ。古代ギリシャの数学者たちが、好んで取り組んだ問題のひとつだったらしい(参考文献[3])。

命題14は作図題だが、作図の中に領域付置を使い、証明の中にピタゴラスの定理を使う。第1巻は領域付置とピタゴラスの定理が二本柱のような役割を演じていたが、命題14はその両方に支えられた建造物なのである。

命題14には、第2巻命題5が使われていた。

 

整理すると、“応用編”には命題4~7が使われていたことになる。この四つが選ばれたことに、特に理由はないだろう。ただの偶然であるはずだ。

第2巻の内容を成立させるためだけなら、命題4~7があれば十分だ。しかしユークリッドは、そうしなかった。第1巻に比べ、“無駄”な命題があまりに多いのも、この巻の特徴である。

 


 

第2巻の証明には、主に第1巻の命題が利用されていた。ここで、それらを列挙してみよう。()内は使用回数である。

命題03「線分の切り取り」(6)
命題05「二等辺三角形の底角は等しい」(3)
命題06「二角の等しい三角形は二等辺三角形」(3)
命題10「線分の二等分」(2)
命題11「直線上の点を通る垂線」(3)
命題12「直線外の点を通る垂線」(2)
命題15「対頂角は等しい」(1)
命題29「平行線の錯角、同位角は等しい」(3)
命題31「平行線の作図」(10)
命題32「三角形の内角の和は二直角」(2)
命題34「平行四辺形の対辺、対角、対角線」(8)
命題36「平行四辺形の等積変形[等底編]」(3)
命題43「平行四辺形の補形は等しい」(5)
命題45「直線図形に等しい平行四辺形の作図(領域付置)」(1)
命題46「正方形の作図」(8)
命題47「ピタゴラスの定理」(6)

以上16個である*8

第1巻では命題31「平行線の作図」が大活躍していたが、今巻でもそれは変わらない。なんと、“基本編”の命題すべてに登場している。それと、命題46「正方形の作図」も多い。正方形を描くときに使うので、当然である。

正方形を利用し、しかも面積が等しいことを示したい場合が多かったので、これらに関わる命題が多いことが見て取れる。命題47「ピタゴラスの定理」や命題43「平行四辺形の補形は等しい」などだ。

意外にも、命題34「平行四辺形の対辺は等しい」も8回も使われている。作図した正方形が、与えられた線分の一部分上の正方形であることを示すのに多用したのだ。

前述の通り、第1巻では使われなかった命題12が、今巻で初めて使われている。その他に、命題6、32、45も、第2巻になって初めて使われている。

命題6「底角の等しい三角形は二等辺三角形」は、命題4の中で、作図した四角形が正方形であることを示すために利用される。隣り合う二辺が等しいことを示すために使うのだ。

命題32「三角形の内角の和は二直角」は、命題9、10の中で、直角二等辺三角形の底角が半直角であることを示すために利用された。ひとつの角が直角なら、他の二角の和は直角であり、しかもその二角は等しいので、双方とも半直角であると示したのだ。

命題45「直線図形に等しい平行四辺形の作図(領域付置)」は、言うまでもなく、命題14で利用された。まず、直線図形に等しい直角平行四辺形(長方形)を作図し、その長方形に等しい正方形を描いたのだった。

 


 

さて、第2巻は結局、何をしたかった巻なのだろうか?

当ブログで何度も述べた通り、1970年代までは、第2巻を幾何学代数学とする解釈が定説だった*9。しかし、近年ではそれは否定されている。第2巻は決して代数学などではなく、純粋に幾何学的なものなのだ。

参考文献[3]によると、第2巻の“基本編”の命題群は、主に円錐曲線論に対して利用されるらしい。円錐曲線とは、円錐を切ったときに現れる曲線で、円、楕円、放物線、双曲線のことだ(ただし古代ギリシャでは、円は円錐曲線に含まれなかったらしい)。本によっては、この四つに加えて、二直線も円錐曲線としている場合がある。

『原論』における具体例としては、第3巻で方べきの定理を証明する際に、“基本編”が使われるらしい。当時は円を円錐曲線に含めていなかったが、現代的に見ればたしかに、円錐曲線に利用されている例と呼べなくもない。

特によく利用されるのは、命題5と6のようだ。この二つは、まず線分を二等分するところから始まる。数学に詳しい人ならピンと来るかもしれないが、円錐曲線では「二等分」が非常によく登場する。

たとえば、円の中心は、直径の二等分点である。また、円の弦は、それに直交する直径によって二等分される。一般に、円錐曲線には径と呼ばれる直線が存在し、特定の方向の弦を二等分するのである。たとえば放物線は線対称だが、その対称の軸は、直交する弦を二等分する。

従って、このような二等分された線分の性質を調べるのに、命題5や6が非常に役に立つ……らしい。私も詳しいことはよく知らないので、これ以上の言及は止めておこう。

 

なんにせよ、第2巻は、「線分を切ったり延ばしたりしたとき、各点の間の線分の関係を述べた命題集」ということになりそうだ。

たくさん登場する正方形や矩形に惑わされてしまうが、本質はそっちではなく、線分の大きさの関係がメインだと考えるべきだろう。

ただ、当時は線分の大きさをうまく表現する方法がなかった。そのため、その上にできる矩形や正方形という概念を用いざるを得なかったのだろう。代数学の発達した現代ならば、積や和という表現で述べられることなのだが。

 

最後に、第2巻に名前を付けよう。1970年代までは「幾何学代数学」と呼ばれていたようだが、当ブログではその命名は間違いだったと主張したい。

では、どんな名前がいいか。

第1巻は、三角形や平行四辺形について論じた巻と言えた。特定の直線の作図や平行線の性質なども述べられていたが、それらは三角形や平行四辺形の性質を証明するために、必要なものだったと見なせるだろう。

第1巻をそのように見なすと、第2巻は線分について論じた巻と言える。線分の分割と延長について論じ、その応用も紹介した巻だ。

そこで、第2巻は「線分の量的関係」と呼ぼう。私にとっては、これが一番すっきりとする。

 

さて、ここまでの二巻で、平面図形について扱ってきた。

平面図形には色々なものがあるが、まだ数学があまり発達していなかった当時の人々にとって、扱える図形はそう多くはなかった。しかも『原論』は、教科書的な基本命題集だと考えられている。もしそうだとしたら、ユークリッドは『原論』で、ごく基本的な平面図形だけを扱おうとしたことだろう。

基本的な平面図形とはすなわち、線分、三角形、平行四辺形、そして円だ。このうち、線分は第2巻、三角形と平行四辺形は第1巻で扱った。

次の第3巻では、最後の基本図形である円を扱う。

 

 

*1:

stoixeia.hatenablog.com

*2:

stoixeia.hatenablog.com

*3:

stoixeia.hatenablog.com

*4:

stoixeia.hatenablog.com

*5:なぜ[s,a]ではなく[s,b]なのか、という疑問が湧くかもしれない。これは証明中で使われる線分に合わせたためであり、式全体でaとbを入れ替えても数学的には特に問題ない。

*6:ただ『原論』において、左辺と右辺の違いはあまり大きな差ではないのかもしれない。《 》は【 】に等しいのだから、【 】も《 》に等しいに決まっている(少なくとも『原論』では、このことは無証明に受け入れられている)。そしてユークリッドは、命題間の対比のわかりやすさよりも、文章のわかりやすさや、その命題が実際に使われがちな状況に合わせて、文章を書いていたのかもしれない。

*7:もっとも、この命題は見るからに基本的な作図なので、仮に第2巻で使われなかったとしても、ユークリッドは書いていたかもしれない。

*8:せっかくなので、各命題でどの命題が使われたかも、列挙しよう。公理、公準、定義を除くと、以下の通りだ。

命題1:03 11 31 34
命題2:31 46
命題3:31 46
命題4:05 06 29 31 34 43 46
命題5:31 34 36 43 46
命題6:31 34 36 43 46
命題7:31 34 43 46
命題8:03 31 34 36 43 46
命題9:03 05 06 11 29 31 32 34 47
命題10:03 05 06 11 15 29 31 32 34 47
命題11:03 10 46 47
命題12:12 47
命題13:12 47
命題14:03 10 45 47

なお、命題4系の証明に05、06、29、34が使われるため、この四つは本来もっと大活躍している。

*9:ちなみに、この解釈が提唱されたのは1848年、Nesselmannの著作『ギリシァの代数学』によるらしい(参考文献[1]497頁)。そして「幾何学代数学」という名を与えたのは、1886年のZeuthen『古代円錐曲線論』であるそうだ(同)。ただ、それ以前から同様の見方をする数学者はいたようである(ルネ・デカルト幾何学』の原享吉の解説176頁で、そのことが仄めかされている)。