オペレヴィ・ヴィクセ

ユークリッドの『原論』を少しずつ読んでいくブログです。タイトルは「Q.E.D.」の元になったギリシャ語の「όπερ έδει δείξαι.」。

第1巻命題43 平行四辺形の補形は等しい

すべての平行四辺形において、対角線をはさむ二つの平行四辺形の補形は互いに等しい。 

 

「補形」という言葉は、現代ではほとんど見かけない。しかし定義に登場していないので、当時は一般的な用語だったのかもしれない。ユークリッドは、あまりに一般的な単語は定義し忘れていることがあるのだ。

補形とは、次のようなものだ。平行四辺形に対角線を一本引き、各辺に平行な線分を、対角線上で交わるように引く。

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(ΑΔ // ΕΖ // ΒΓ、ΑΒ // ΘΗ // ΔΓ)

このとき、対角線が通過している二つの四角形ΑΕΚΘ、ΚΗΓΖのことを、「対角線をはさむ平行四辺形」と呼ぶ。そして元の平行四辺形から、これらを除いて残る四角形ΕΒΗΚ、ΘΚΖΔのことを「補形」と呼ぶ。念のため付け加えておくと、補形は平行四辺形になる。対辺がすべて平行だからだ。

それと『原論』ではこの先、平行四辺形ΑΒΓΔを、平行四辺形ΑΓなどと書くことが増える。つまり一組の対角だけで表現するのだ。カッコいいので、当ブログでも今後、時々そのように書くことにしよう。

 

今回の命題は、平行四辺形の補形が互いに等しいと主張している。早速証明しよう。

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平行四辺形ΑΒΓΔは対角線ΑΓによって二等分されるので、三角形ΑΒΓは三角形ΑΓΔに等しい*1

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また、平行四辺形ΕΘも対角線ΑΚによって二等分されるので、三角形ΑΕΚは三角形ΑΚΘに等しい*2。同様に、三角形ΚΗΓも三角形ΚΓΖに等しい。

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ゆえに二つの三角形ΑΕΚとΚΗΓの和は、二つの三角形ΑΚΘとΚΓΖの和に等しい*3。しかも三角形ΑΒΓ全体は三角形ΑΓΔ全体に等しいので、これらの和を除いた残りの補形ΒΚも残りの補形ΚΔに等しい*4

よってすべての平行四辺形において、対角線をはさむ二つの平行四辺形の補形は互いに等しい。これが証明すべきことであった。

 

いきなり「補形は等しい」と言われてもなかなか信じられないが、三枚目の画像を見ればほぼ自明に思えるのではなかろうか。

今回の命題は、次回再び平行四辺形を作図するときに、肝となる命題して登場する。 また第2巻でもちょくちょく登場するので、覚えておいてほしい。

 

 

*1:命題34「平行四辺形において、対辺および対角は互いに等しく、対角線はこれを二等分する」

*2:命題34「平行四辺形において、対辺および対角は互いに等しく、対角線はこれを二等分する」

*3:公理2「等しいものに等しいものが加えられれば、全体は等しい」

*4:公理3「等しいものから等しいものが引かれれば、残りは等しい」