オペレヴィ・ヴィクセ

ユークリッドの『原論』を少しずつ読んでいくブログです。タイトルは「Q.E.D.」の元になったギリシャ語の「όπερ έδει δείξαι.」。

第1巻命題41 平行四辺形は三角形の二倍

もし平行四辺形が三角形と同じ底辺を持ち、かつ同じ平行線の間にあれば、平行四辺形は三角形の二倍である。 

 

三角形の面積は「底辺×高さ÷2」で求められる。ではなぜ2で割るのか、という疑問の答えが、この命題だ。

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平行四辺形ΑΒΓΔと、三角形ΕΒΓが、同じ底辺ΒΓをもち、かつ同じ平行線ΑΕ、ΒΓの間にあるとする。このとき、ΑΒΓΔ(の面積)がΕΒΓの二倍であることを示そう。

まず補助線として、ΑΓを結ぶ*1

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すると、いまできた三角形ΑΒΓは、三角形ΕΒΓに等しい。なぜなら、同じ底辺ΒΓの上にあり、同じ平行線ΒΓ、ΑΕの間にあるからだ*2

そして、平行四辺形ΑΒΓΔは、三角形ΑΒΓの二倍である。なぜなら、対角線ΑΓが、平行四辺形ΑΒΓΔを二等分しているからだ*3

ゆえに、平行四辺形ΑΒΓΔは、三角形ΕΒΓの二倍でもある。

よってもし平行四辺形が三角形と同じ底辺を持ち、かつ同じ平行線の間にあれば、平行四辺形は三角形の二倍である。これが証明すべきことであった。

 

簡単な証明であろう。比較したい三角形に等しい三角形を、平行四辺形の内部に作図し、それが平行四辺形の半分であることを示した。

 

今回の命題は同じ底辺を持つ平行四辺形と三角形の話だったが、等しい底辺を持つ場合でも、以下の図で同様に証明できる。

f:id:kigurox:20180203000934p:plain(ΒΓ=ΖΗ、ΒΗ // ΑΕ)

しかし『原論』ではどういうわけか、この場合の証明は行わない。命題35から40まで、ずっと「同じ底辺」「等しい底辺」と交互に扱ってきたのに、ここで唐突に同じ底辺しか論じないのは、どうにも不自然である。

理由は知らないが、もしかしたらピタゴラスの定理の証明に不要だからかもしれない。今回の命題はピタゴラスの定理の証明で大活躍するのだが、等しい底辺を持つ場合は不要なのだ。

この推論は、「ユークリッドピタゴラスの定理を示すために『原論』第1巻を書いた」という俗説に基づいている。正直、私自身はこの説を支持していないだが、他に適当な理由が思いつかなかった。

何かそれっぽい理由は、他にないだろうか?

 

 

*1:公準1「任意の点から任意の点へ直線をひくこと」

*2:命題37「同じ底辺の上にあり、かつ同じ平行線の間にある三角形は互いに等しい」

*3:命題34「平行四辺形において、対辺および対角は互いに等しく、対角線はこれを二等分する」