同じ底辺の上にあり、かつ同じ側にある等しい三角形は同じ平行線の間にある。
前々回の命題37で、同じ底辺の上にあり、かつ同じ平行線の間にある三角形は互いに等しいことを示した。今回の命題は、その逆である。
二つの三角形ΑΒΓ、ΔΒΓを、同じ底辺ΒΓの上にあり、かつ同じ側にあり、かつ等しい三角形とする。このとき、両者は同じ平行線の間にあることを示す。
言い換えると、ΑΔを結んだとき*1、ΑΔとΒΓが平行線であることを示したい。
証明は背理法で行う。ΑΔがΒΓに平行でないとし、点Αを通りΒΓに平行な直線を描こう*2。それとΒΔとの交点をΕとし、ΕΓを結ぶ*3。
(ΒΓ // ΑΕ)
すると、いま作られた三角形ΕΒΓは、三角形ΑΒΓに等しいはずである。なぜなら、同じ底辺ΒΓの上にあり、同じ平行線ΒΓ、ΑΕの間にあるからだ*4。
ところが、三角形ΑΒΓは三角形ΔΒΓにも等しいので、ΕΒΓはΔΒΓにも等しい*5。だがそれは不可能だ。なぜなら、小さいものが大きいものに等しくなってしまうから*6。ゆえに、ΑΕはΒΓに平行でない。
同様にして、下図のように、点ΕがΔについてΒと反対側にある場合も、ΑΕがΒΓに平行でないことが示せる。
ゆえに、ΑΔ以外のいかなる線分も、ΒΓに平行ではない。したがって、ΑΔはΒΓに平行である。
よって同じ底辺の上にあり、かつ同じ側にある等しい三角形は同じ平行線の間にある。これが証明すべきことであった。
冒頭で述べた通り、今回は前々回の「同じ底辺・同じ平行線の間にある三角形」の逆である。そして次回は、「等しい底辺・同じ平行線の間にある三角形」の逆だ。
では「同じ底辺・同じ平行線の間にある平行四辺形」「等しい底辺・同じ平行線の間にある平行四辺形」の逆はというと、実はこれは出てこない。
その代わり、少し先の方で「平行四辺形は三角形の二倍」という命題が出てくる。これと今回の命題を合わせれば、平行四辺形についても簡単に証明できる。