オペレヴィ・ヴィクセ

ユークリッドの『原論』を少しずつ読んでいくブログです。タイトルは「Q.E.D.」の元になったギリシャ語の「όπερ έδει δείξαι.」。

第1巻命題22 三辺を与えられた三角形

与えられた三線分に等しい三線分から三角形を作ること。ただしどの二線分をとっても、その和は残りの線分より大きくなければならない。 

 

久々の作図題である。命題12以来だ。今回と次回が作図題で、命題24からまた定理に戻る。

しかも命題に但し書きがついてるという、珍しい命題だ。二線分の和が残りの線分より小さいと、そもそも三角形が描けないため、このように但し書きがしてある。

ちなみにこの命題、実は命題5の記事の中で、既に軽く触れていたりする。そこで触れた通り、中学でも習う内容だ。 

stoixeia.hatenablog.com

 

さて、作図していこう。まずは図のように三線分Α、Β、Γが与えられたとする。

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このとき、Α、Β、Γに等しい三線分を三辺とする三角形を作図したい。

まず、任意の半直線ΔΕを描く。その上に、線分Αに等しい線分ΔΖ、線分Βに等しい線分ΖΗ、線分Γに等しい線分ΗΘを作図する*1

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(ΔΖ=Α、ΖΗ=Β、ΗΘ=Γ)

そして中心Ζ、半径ΖΔをもって円ΔΚΛを描く*2

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さらに、中心Η、半径ΗΘをもって円ΘΚΛを描く*3

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最後にΚΖ、ΚΗを結ぶと*4、三角形ΚΖΗが求める三角形である。

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理由はほぼ自明であろう。

点Ζは円ΔΚΛの中心なので、辺ΖΚは線分ΖΔに等しい*5。そして線分ΖΔは線分Αに等しいので、辺ΖΚも線分Αに等しい*6

同様に、点Ηは円ΘΚΛの中心なので、辺ΗΚは線分ΗΘに等しい*7。そして線分ΗΘは線分Γに等しいので、辺ΗΚも線分Γに等しい*8

さらに、辺ΖΗは線分Βに等しい(線分ΖΗは線分Βに等しい線分として、直線ΖΕから切り取ったのだった)。

ゆえに、三線分ΚΖ、ΖΗ、ΗΚは、三線分Α、Β、Γにそれぞれ等しい。

よって、与えられた三線分Α、Β、Γに等しい三線分ΚΖ、ΖΗ、ΗΚから三角形ΚΖΗが作られた。これが作図すべきものであった。

 

以前、命題5の記事でこの作図に触れたときは、「三辺が与えられた三角形は一通りしか作図できない」という文脈で紹介した。

しかし『原論』では、このような三角形がいくつ作れるかについては、何も言っていない。それにこのような三角形は、実際には少なくとも四つ描ける(上下反転で二つ、左右反転で二つ)。

『原論』で言わんとしているのは、とにかく与えられた三線分を三辺とする三角形が、少なくとも一つは作図できるということだ。そしてこの作図が、次の命題23を作図するのに必要になる。

命題23は、命題24以降で多用される重要な作図だ。今回の作図は、重要な作図をするための重要な作図である。

 

 

*1:命題3「二つの不等な線分が与えられたとき、大きいものから小さいものに等しい線分を切り取ること」

*2:公準3「任意の点と距離(半径)をもって円を描くこと」

*3:公準3「任意の点と距離(半径)をもって円を描くこと」

*4:公準1「任意の点から任意の点へ直線をひくこと」

*5:定義15「円とは…内部にある一点からそれへ引かれたすべての線分が互いに等しいものである」定義16「この点は円の中心と呼ばれる」

*6:公理1「同じものに等しいものはまた互いに等しい」

*7:定義15「円とは…内部にある一点からそれへ引かれたすべての線分が互いに等しいものである」定義16「この点は円の中心と呼ばれる」

*8:公理1「同じものに等しいものはまた互いに等しい」