オペレヴィ・ヴィクセ

ユークリッドの『原論』を少しずつ読んでいくブログです。タイトルは「Q.E.D.」の元になったギリシャ語の「όπερ έδει δείξαι.」。

第1巻命題19 三角形の大きい角は大きい辺に対する

すべての三角形において、大きい角には大きい辺が対する。 

 

前回の逆である。今回も大して難しくはない。

三角形ΑΒΓがあり、角ΑΒΓが角ΒΓΑより大きいとき、辺ΑΓも辺ΑΒより大きいことを証明しよう。

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証明には背理法を使う。もし辺ΑΓが辺ΑΒより大きくないならば、等しいか小さいかのどちらかである。場合分けで考えよう。

まず、ΑΓとΑΒが等しい場合。

このとき、三角形ΑΒΓはΑΓ=ΑΒの二等辺三角形になるので、角ΑΒΓも角ΑΓΒに等しくなるはずである*1。ところが、この二つは等しくないことが前提だったので、これは矛盾である。よってΑΓはΑΒに等しくない。

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次に、ΑΓがΑΒより小さい場合。

つまりΑΒの方が大きい場合だが、三角形において、大きい辺には大きい角が対するのだった*2。すなわち、角ΑΓΒは角ΑΒΓより大きくなるはずだ。しかし、角ΑΓΒは角ΑΒΓより小さいことが前提だったので、これは矛盾である。したがって、ΑΓはΑΒより小さくない。

以上より、ΑΓはΑΒに等しくもないし、小さくもないことが示された。ゆえにΑΓはΑΒより大きい。

よってすべての三角形において大きい角には大きい辺が対する。これが証明すべきことであった。

 

ΑΓはΑΒはより大きいか等しいか小さいかのいずれかであり、等しくも小さくもないので大きい、という背理法と場合分けを組み合わせた証明である。

これまでの命題を二つ使うだけで、あっという間に終わってしまう証明である。『原論』にしてはなかなかシンプルな証明だ。補助線もない。

特に書くこともないので、今回はここまで。

 

 

*1:命題5「二等辺三角形の底辺の上にある角は互いに等しく、等しい辺が延長されるとき、底辺の下の角は互いに等しいであろう」

*2:命題18「すべての三角形において大きい辺は大きい角に対する」