すべての三角形において、大きい角には大きい辺が対する。
前回の逆である。今回も大して難しくはない。
三角形ΑΒΓがあり、角ΑΒΓが角ΒΓΑより大きいとき、辺ΑΓも辺ΑΒより大きいことを証明しよう。
証明には背理法を使う。もし辺ΑΓが辺ΑΒより大きくないならば、等しいか小さいかのどちらかである。場合分けで考えよう。
まず、ΑΓとΑΒが等しい場合。
このとき、三角形ΑΒΓはΑΓ=ΑΒの二等辺三角形になるので、角ΑΒΓも角ΑΓΒに等しくなるはずである*1。ところが、この二つは等しくないことが前提だったので、これは矛盾である。よってΑΓはΑΒに等しくない。
次に、ΑΓがΑΒより小さい場合。
つまりΑΒの方が大きい場合だが、三角形において、大きい辺には大きい角が対するのだった*2。すなわち、角ΑΓΒは角ΑΒΓより大きくなるはずだ。しかし、角ΑΓΒは角ΑΒΓより小さいことが前提だったので、これは矛盾である。したがって、ΑΓはΑΒより小さくない。
以上より、ΑΓはΑΒに等しくもないし、小さくもないことが示された。ゆえにΑΓはΑΒより大きい。
よってすべての三角形において大きい角には大きい辺が対する。これが証明すべきことであった。
ΑΓはΑΒはより大きいか等しいか小さいかのいずれかであり、等しくも小さくもないので大きい、という背理法と場合分けを組み合わせた証明である。
これまでの命題を二つ使うだけで、あっという間に終わってしまう証明である。『原論』にしてはなかなかシンプルな証明だ。補助線もない。
特に書くこともないので、今回はここまで。