すべての三角形において、大きい辺は大きい角に対する。
三角形ΑΒΓにおいて、辺ΑΓがΑΒより大きいとき、それぞれの対角も同じ大小関係にあると述べている。
この命題では二つの辺と二つの角しか見ていないが、当然三つの辺と角に対して同じことが言える。
証明は簡単だ。さらっと証明して終わりにしよう。
いまΑΓはΑΒより大きいので、ΑΓ上にΑΒに等しい線分ΑΔを切り取り*1、ΒΔを結ぶ*2。
(ΑΒ=ΑΔ)
ここで、角ΑΔΒに注目しよう。これは三角形ΔΒΓの外角なので、内対角ΔΓΒより大きい*3。
ところで、辺ΑΒとΑΔが等しいので、角ΑΔΒは角ΑΒΔに等しい*4。ゆえに角ΑΒΔも角ΑΓΒより大きい。
さらに図より、角ΑΒΓは角ΑΒΔより大きいので、なおさら角ΑΓΒより大きい。
よって、すべての三角形において大きい辺は大きい角に対する。これが証明すべきことであった。
要するに、角ΔΓΒ<角ΑΔΒ=角ΑΒΔ<角ΑΒΓと示す証明だ。ポイントは二等辺三角形を作るところだろうか。
そういえば、これまでにも何度か、
「ΑよりΒが大きく、ΒよりΓが大きいので、ΑよりΓが大きい」
という三段論法のような証明があった。
しかし、「大きいものよりもさらに大きいものは、第一のものより大きい」といった公理は存在しない。暗黙の了解として使っているようだ。