オペレヴィ・ヴィクセ

ユークリッドの『原論』を少しずつ読んでいくブログです。タイトルは「Q.E.D.」の元になったギリシャ語の「όπερ έδει δείξαι.」。

第1巻命題11 直線上の点を通る垂線

与えられた直線にその上の与えられた点から直角に直線を引くこと。 

 

直角に関する命題は、今回が初めてである。ここから命題18くらいまで、角度に関連した命題が続く。

今回の命題も難しくないので、さらりと作図して終わりにしよう。

与えられた直線をΑΒとし、その上に点Γが与えられている。

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このとき、点Γを通り、ΑΒに直角に直線を引きたい。

まず線分ΑΓ上に任意の点Δを取り、ΓΒ上にΓΔに等しくΓΕを取る*1*2。そしてΔΕ上に等辺三角形ΔΕΖを作り*3、ΖΓを結ぶ*4

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このとき、ΖΓがΑΒの垂線である。

証明も簡単だ。

二つの三角形ΔΖΓとΕΖΓに注目すると、ΔΓはΓΕに等しく、ΓΖは共通であるから、二辺がそれぞれ等しい。そして底辺ΔΖは底辺ΖΕに等しい。したがって角ΔΓΖは角ΕΓΖに等しい*5

角ΔΓΖと角ΕΓΖは接角なので、直線ΖΓが直線ΑΒの上に立てられて接角を互いに等しくしている。よって直角の定義から、この二つの角は直角である*6

よって与えられた直線ΑΒにその上の与えられた点Γから直角に直線ΓΖが引かれている。これが作図すべきものであった。

 

直角に関する命題も初めてだし、証明中に直角の定義が使われるのも初めてだ。角度を求める方法には色々あるが、ある角が直角であることは、このようにしても示せるのである。

 

今回の作図は、点Εを取った後は前回の命題10と同じである。今回の命題と合わせることで、前回作図した「線分の二等分線」は、ただの二等分線ではなく「垂直二等分線」であることがわかる。

『原論』でもそのことに触れていて良さそうなものだが、どういうわけか特に明記されていない。簡単なことなので、敢えて説明する必要はないと考えたのかもしれない。

 

 

*1:命題3「二つの不等な線分が与えられたとき、大きいものから小さいものに等しい線分を切り取ること」

*2:「点Γを中心に適当な半径で円を描く」を難しく書くと、こうなる。

*3:命題1「与えられた有限な直線(線分)の上に等辺三角形を作ること」

*4:公準1「任意の点から任意の点へ直線をひくこと」

*5:命題8「もし二つの三角形において二辺が二辺にそれぞれ等しく、底辺も底辺に等しければ、等しい辺に挟まれた角もまた等しいであろう」

*6:定義10「直線が直線の上に立てられて接角を互いに等しくするとき、等しい角の双方は直角であり、 上に立つ直線はその下の直線に対して垂線と呼ばれる」