オペレヴィ・ヴィクセ

ユークリッドの『原論』を少しずつ読んでいくブログです。タイトルは「Q.E.D.」の元になったギリシャ語の「όπερ έδει δείξαι.」。

第1巻命題10 線分の二等分

与えられた線分を二等分すること。 

 

10番目の命題である。やっと二桁目に突入だ。ちなみに第1巻には全部で48個の命題があるので、ここまででようやく五分の一ほどである。

 

今回も難しい命題ではない。さらりと作図して終わりにしよう。

与えられた線分をΑΒとする。

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この上に等辺三角形ΑΒΓを作り*1、角ΑΓΒを線分によって二等分する*2

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二等分線と最初の線分ΑΒの交点をΔとすると、線分ΑΒはΔにおいて二等分されている。

なぜなら、二つの三角形ΑΓΔとΒΓΔに注目すると、ΑΓとΒΓは等しく、ΓΔが共通なので、二辺が二辺にそれぞれ等しい。さらに等しい二辺に挟まれた角ΑΓΔと角ΒΓΔも等しい。ゆえに底辺ΑΔは底辺ΒΔに等しい*3

よって与えられた線分ΑΒはΔにおいて二等分されている。これが作図すべきものであった。

 

このとき、線分ΓΔはΑΒに垂直だが、このことに『原論』は全く触れていない。ユークリッドが知らなかったとも思えないので、触れ忘れたか、敢えて触れなかったかのどちらかだろう。

次の命題11と12が垂線の作図方法なので、「それを見ればわかるでしょ?」と考えたのかもしれない。

 

ところで以前、命題5の記事の中で、現代の中学で習う中点の作図方法について触れた。
stoixeia.hatenablog.com

この記事の中で、「中点の作図は、『原論』では間接的に命題5を使っている」という旨の説明をした。確かめてみよう。

今回の作図の中では、角の二等分の作図(命題9)が使われている。そして命題9の証明では、命題8(三角形の合同条件[三辺相等])が使われていた。 さらに命題8の証明には命題7が使われ、命題7の証明には命題5が使われていた*4

というわけで、たしかに中線の作図には、間接的に「二等辺三角形の底角は等しい」という命題が使われている。

このような命題同士の繋がりを表す樹形図を作ってみたいが、デザインを相当工夫しないと非常に見づらいものになるだろう。ただの樹形図ではなく、命題をクリックすると関連する命題だけが強調されるようなデザインが好ましい。誰か作り方を教えてくれないだろうか。

 

ちなみに今回、間接的にはともかく、直接的には公理も公準も使わなかった。このような命題は、今回が初めてである。
(逆に、公理しか使わなかった命題は、いまのところ命題4だけである)

 

 

*1:命題1「与えられた有限な直線(線分)の上に等辺三角形を作ること」

*2:命題9「与えられた直線角を二等分すること」

*3:命題4「もし二つの三角形が二辺が二辺にそれぞれ等しく、その等しい二辺に挟まれる角が等しいならば、底辺は底辺に等しく、三角形は三角形に等しく、残りの二角は残りの二角に、すなわち等しい辺が対する角はそれぞれ等しいであろう」

*4:

stoixeia.hatenablog.com

stoixeia.hatenablog.com

stoixeia.hatenablog.com