オペレヴィ・ヴィクセ

ユークリッドの『原論』を少しずつ読んでいくブログです。タイトルは「Q.E.D.」の元になったギリシャ語の「όπερ έδει δείξαι.」。

第1巻命題9 角の二等分

与えられた直線角を二等分すること。

与えられた直線角を角ΒΑΓとせよ。このときそれを二等分しなければならぬ。

 

この命題は、なぜか命題中に特述が書かれている。理由は知らない。

命題3以来の、久々の作図題である。実は『原論』の第1巻は、作図題と定理が交互にまとまって登場する。

作図題で作図可能な図形を示す→それらを使って定理を証明する→定理を使って新たに作図可能な図形を示す→それらを使ってまた新たな定理を証明する→……

という流れになっているのだ。ここから先は、命題12まで作図題が続く。

 

今回は角の二等分の作図だ。方法は現代の中学校で教わる内容とほぼ同じだ。角ΒΑΓをさらっと二等分して終わりにしよう。

f:id:kigurox:20171106011028p:plain

さていま、図のように直線角ΒΑΓがある。ΑΒ上に任意の点Δを取り、ΑΓからΑΔに等しい線分ΑΕを切り取ろう*1。次にΔΕを結び*2、線分ΔΕ上に等辺三角形ΔΕΖを描く*3

f:id:kigurox:20171106011951p:plain

そしてΑΖを結べば*4、角ΒΑΓは線分ΑΖによって二等分される。

f:id:kigurox:20171106012121p:plain

証明も簡単である。

二つの三角形ΔΑΖとΕΑΖに注目すると、辺ΔΑは辺ΕΑに等しく、ΑΖは共通なので、二辺が等しい。また三角形ΔΕΖは等辺三角形なので、ΔΖとΕΖも等しい。よって二つの三角形において、二辺が二辺にそれぞれ等しく、底辺も底辺に等しいので、等しい二辺に挟まれた角ΔΑΖは角ΕΑΖに等しい*5

よって与えられた直線角ΒΑΓは、線分ΑΖによって二等分されている。これが作図すべきものであった。

 

現代の中学校では、「等辺三角形を描く」とは習わないはずだ。「点Δを中心に任意の半径の円を描き、それと同じ半径で中心Εの円を描き、その交点をΖとする」と習った記憶がある。つまり二等辺三角形を作図するのだ。

別にどちらでも良いが、『原論』的には、二等辺三角形を描こうと思うと命題2の面倒くさい作図*6をしなくてはいけなくなる。それよりは等辺三角形を描いた方が、作図にかかる労力が少なくて済むのだろう。

 

ところで今回の記事を書いているとき、この作図は以下のようにしてもよいのだな、と気が付いた。

f:id:kigurox:20171106013111p:plain

だからどうした、という話ではないのだが。

 

 

*1:命題3「二つの不等な線分が与えられたとき、大きいものから小さいものに等しい線分を切り取ること」

*2:公準1「任意の点から任意の点へ直線をひくこと」

*3:命題1「与えられた有限な直線(線分)の上に等辺三角形を作ること」

*4:公準1「任意の点から任意の点へ直線をひくこと」

*5:命題8「もし二つの三角形において二辺が二辺にそれぞれ等しく、底辺も底辺に等しければ、等しい辺に挟まれた角もまた等しいであろう」

*6:命題2「与えられた点において与えられた線分に等しい線分を作ること」

stoixeia.hatenablog.com