オペレヴィ・ヴィクセ

ユークリッドの『原論』を少しずつ読んでいくブログです。タイトルは「Q.E.D.」の元になったギリシャ語の「όπερ έδει δείξαι.」。

第1巻命題7 三角形の合同条件(三辺相等)[準備編]

ひとつの線分を底辺として、三角形を成す二線分にそれぞれ等しく、同じ側に異なった点で交わり、最初の二線分と同じ端を持つ他の二線分を作ることはできない。 

 

二つ目の合同条件がようやく登場である。ただし今回はまだ準備(補題)だ。今回証明する補題を使って、次回合同条件(三辺相等)を証明する。

この命題は、文章だけだと何を言っているのかわかりにくい。図で説明すると以下の通りだ。

ひとつの線分ΑΒがあり、それを底辺とする三角形ΓΑΒがある。

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ここで、線分ΑΒに対して、点Γと同じ側に、Γと異なる点Δを取る。このとき、ΑΓ=ΑΔ、ΒΓ=ΒΔとすることはできない、という命題だ。

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(ΑΓ=ΑΔかつΒΓ=ΒΔとなる点Δは取れない、と述べてもよい)

命題中の「最初の二線分と同じ端を持つ他の二線分」というのが、ΑΔとΒΔのことだ。この「同じ端」とは、点Α、Βのことを指す。

証明は背理法を使う。ΑΓ=ΑΔ、ΒΓ=ΒΔとして矛盾を導こう。

まずΓΔを結ぶ*1。するとΑΓ=ΑΔであり、二等辺三角形の底角は等しいので、角ΑΓΔ=角ΑΔΓとなる*2

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さらに、明らかに角ΑΓΔ>角ΒΓΔなので、角ΑΔΓ>角ΒΓΔである。

その上、明らかに角ΒΔΓ>角ΑΔΓなので、ここまでの話をまとめると、
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角ΒΔΓ角ΑΔΓ角ΑΓΔ角ΒΓΔ
となる。

ところが、背理法の仮定からΒΓ=ΒΔなので、角ΒΔΓ角ΒΓΔである*3。これは不可能である。

よって、ひとつの線分を底辺として三角形を成す二線分にそれぞれ等しく、同じ側に異なった点で交わり、最初の二線分と同じ端を持つ他の二線分を作ることはできない。これが証明すべきことであった。

分かりにくいが要するに、

  1. 辺ΑΓ=辺ΑΔ、辺ΒΓ=辺ΒΔと仮定する
  2. 辺ΑΓ=辺ΑΔなので角ΑΓΔ角ΑΔΓ
  3. 辺ΒΓ=辺ΒΔなので角ΒΓΔ角ΒΔΓ
  4. しかし図より、角ΒΔΓ角ΑΔΓ角ΑΔΓ角ΒΓΔ
  5. よって矛盾

という証明である。

もちろんこの議論は、ΔがΓの左側にあっても成立する。上の文中のΔとΓを、そっくり入れ替えればよい。

 

今回の命題は、見方を変えれば三角形の合同条件である。「底辺が共通で、二辺が等しく、しかも同じ側にある三角形は合同」とでも言えるだろうか。

次回は、底辺が共通でなくとも、三辺が等しければ合同になることを証明する。

 

*1:公準1「任意の点から任意の点へ直線をひくこと」

*2:命題5「二等辺三角形の底辺の上にある角は互いに等しく、等しい辺が延長されるとき、底辺の下の角は互いに等しいであろう」

*3:命題5「二等辺三角形の底辺の上にある角は互いに等しく、等しい辺が延長されるとき、底辺の下の角は互いに等しいであろう」