二つの不等な線分が与えられたとき、大きいものから小さいものに等しい線分を切り取ること。
下図のように二線分ΑΒとΓ(ΑΒ>Γ)があるとき、ΑΒからΓに等しい線分を切り取りたい。
「ΑΒからΓを切り取る」ではなく、「ΑΒからΓに等しい線分を切り取る」とあるところに、『原論』独特の感覚がある気がする。Γを移動させてΑΒから切り取る、という発想ではないようだ。
(ただし次回以降、図形の移動は頻出する。動かせないわけではないようだ)
今回は難しくない。むしろ簡単すぎる。さらっと書いて終わりにしよう。
点Αにおいて、線分Γに等しい線分ΑΔを作る*1。そして中心Α、半径ΑΔをもって円ΔΕΖを描けば*2、目的の作図が得られる。
なぜなら、点Αは円ΔΕΖの中心であるからΑΕはΑΔに等しく*3、ΓもΑΔに等しい。よってΑΕとΓはともにΑΔに等しいので、ΑΕはΓに等しい*4。
よって二つの不等な線分ΑΒとΓが与えられたとき、大きいものΑΒから小さいものΓに等しい線分ΑΕが切り取られた。これが作図すべきものだった。
簡単な作図であるが、この「切り取る」という操作は今後色んな命題に登場する。この作図は、今後の命題のための伏線である。